透析者の方は、合併症の治療や予防の為に薬を服用する機会が多いと思います。残念ながら薬には副作用が認められる場合が多く、特に透析者の方においては、腎機能がほとんどありませんので薬が蓄積され、その結果として副作用が強く現れることもありますので、当クリニクでは「腎不全の人の為の薬の処方」という本に基づいて注意して出しています。
透析治療は大別して二つの働きがあります。
1:体内で作られた代謝産物を除去すること
2:増加した水分を除去すること、があります。
あまり短時間で透析を行うと「不均衡症状」を起こしたり又大きな分子の尿毒素は除去されにくいので、出来るだけ時間を長くかけて透析を行った方が、水分除去に関しても代謝産物の除去に関しても有効です。
早期発見のコツ(あくまで目安)
1)穿刺前にまず、シャント部をよく診る。触る。音を聴く。の3つを実行するのが望ましい!
(どんな種類のシャントなのか、どの部位で吻合されているのか、どういう流れになっているのか。)
2)日頃から静脈圧の上昇(200mmHg以上)、QB低下を気にすること!
3)シャント肢の腫脹(静脈高血圧症)は過大シャントor 中枢側に狭窄がある!
4)自己血管の場合、シャント吻合部の直上に多く、同部を触ると凹んでいるケースが多い!ので触ってみましょう。
5)急に今までにはなかった副側血行路が生えてきた!
6)グラフトの場合は、グラフト‐自己静脈の吻合部に狭窄を生じる事が多い!
7)シャント音の高音(キューンキューン)は狭窄が起こってる場合が多い!
8)シャント音の低音・減弱のみでは判断しにくい!(元々の心拍出量が乏しい場合があるので)
9)シャントエコー(機種によって多少異なるが)にて血流量が500ml/minを切っていれば、狭窄があってもおかしくない!
以上の事を気をつけながら、狭窄が疑われるならば可及的にPTA:経皮的血管形成術(血管造影をしてから風船の付いたカテーテルを挿入し、少しずつ風船を拡げて血管の狭窄部を拡張させる事)を施行してもらいましょう。シャントはいかに長持ちさせるかがその人の生命予後にも関わってきます。
シャントは透析患者にとって、命綱なのです。
急性の腎不全を除けば、ほとんどの場合、いったん透析を始めれば一生患者さんは透析を継続していかなければなりません。
“一生”という言葉に絶望感を感じる人がほとんどかも知れませんが、自己管理さえしっかりしてもらえば、普通に働いたり、日常生活を有意義に送っている透析者さんは数多くいらっしゃいます。
このようにQOL(生活の質)が上がれば、高齢者でも十分に施行する価値があると思います。ただ難しい事は自己決定する事の出来ない透析者さんに生命維持のために寝たきりでもどこまで透析を継続していくかという問題などが生じてきます。透析を中止するという事は逆に言えば、死刑宣告とも言いかねません。
今後はこういった問題が増えてくると思いますが、やはり自己判断出来る間に“Living will”と言って、家族とよく話し合った上で自分の意思を書面に記しておくという事も大切であると思います。
透析液は1970年代は酢酸透析液であり、1970年代からは重曹透析液へと移行していきました。
酢酸透析液より以前は重曹透析液でしたが機械のトラブルが多く、酢酸透析液が開発されて、トラブルが減少し、透析治療が普及しました。しかし、ダイアライザ-(透析器)の性能向上により酢酸の血液中濃度が過剰となり末梢血管拡張による血圧低下などの症状が見られる様になり、機械の改良と共に、より生理的な重曹透析液へと移行してきました。
重曹透析液の中にも少量の酢酸が含まれるため、血圧低下がみられる方もいらっしゃるので、当クリニックでは近年開発された酢酸を含まない重曹透析液を使用しています。
当クリニックはリクセルを使用しております。
この方法は透析アミロイド症のリスクを低減する治療法として普及しています。
リクセルは手根管症候群の原因物質であるβ2MG(β2ミクログロブリン)を選択的に吸着します。また炎症性サイトカインの吸着や酸化ストレスの改善も期待されます。
当クリニックにおいても透析アミロイド症の透析者を対象に治療しています。
下肢痙攣とは筋肉の異常収縮によるもので「こむらがえり」「筋クランプ」とも言われています。
原因のひとつとして大きく上げられているのが過度の除水によるもので、血圧低下などにより筋肉に十分な酸素供給ができないことやアミノ酸の消失、電解質のバランスが崩れることで透析の後半などに起こりやすいと言われています。
対処法は、芍薬甘草湯服用やカルチコール投与、湯たんぽの使用等を行います。
また当クリニックでは、芍薬甘草湯を服用しても効果が見られない方にアミノ酸(BCAA)補給をしていただいています。
アミノ酸を服用して頂いてる透析者から「攣らない」「効果あるよ」等、良い評価をしていただいています。
LDLアフェレーシスは主にPAD(末梢動脈疾患)・ASO(閉塞性動脈硬化症)の治療に用いられます。
上記の病変は血行障害をきたし、末梢への血流が悪くなり「冷感」・「しびれ」・「疼痛」さらには「潰瘍」などの症状があらわれます。
これらの病変にはLDLコレステロールが大きく関与しています。
そのコレステロールを積極的に吸着・取り除く治療がLDL-アフェレーシスです。
治療としましては1クールを10回として、1回約2時間の治療を行います。
透析者様の声としまして、治療中から足がポカポカする・靴下をはかなくても足が暖かいなどの意見がよせられました。
また当クリニックでは、PAD・ASOの早期発見に力を注いでいます。
各部署との連携を図り、フットチェック・下肢血管エコー・PAD・ASO等を簡易的に測定できるABI・TBIの測定を行ったりしています。
末梢動脈疾患(PAD)とは、足の血流が悪くなる病気です。
末梢動脈疾患(PAD)とは、足の血管に動脈硬化が起こり血管が狭くなったり詰まったりして、血液の流れが悪くなる病気です。足の血流が悪くなると、足がしびれたり、痛んだり歩きにくくなったりします。悪化すると、足の皮膚がただれたり、壊死したりすることもあります。
PADは心筋梗塞や脳梗塞を高率に合併します。
PADの原因は足の血管の動脈硬化ですので、PADの透析者さんは、同じ動脈硬化を原因とする狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの命にかかわる病気を合併することがあります。
PADを重症化させず、また、怖い合併症を防ぐためには、早期発見・早期治療が重要です。
PADの危険因子は、動脈硬化の原因となりやすい、喫煙、糖尿病、高血圧、高脂血症などです。ですからPADを予防するには、これらの病気を予防または治療すること、禁煙を心がけることなどが大切です。
また、PADを重症化させないためにも危険因子はなるべく避けるようにしましょう。
血液透析治療では毎回、動脈側と静脈側に2本の針を刺します。針先が鋭利になっているので針を刺せば当然痛みを感じ、血管壁は損傷を受けます。その穿刺痛や血管の損傷を防ぐために、毎回同じ部位に針を刺すボタンホール穿刺という方法があります。
ボタンホール穿刺とは
通常の穿刺針で同じ針穴からの穿刺を何度か繰り返します。針の通るルートが完成したら次回穿刺時に針先が鈍になっている針で穿刺します。
ボタンホール穿刺のメリット
① 穿刺痛が軽減される
② 穿刺による血管の損傷を防ぐ事ができる
③ 止血時間が短くなる
④ 穿刺困難な血管でも穿刺ミスが少なくなる
等がありますが、独特な穿刺技術が必要で穿刺困難な例もあります。
当クリニックはリクセルを使用しております。
この方法は透析アミロイド症のリスクを低減する治療法として普及しています。
リクセルは手根管症候群の原因物質であるβ 2MG(β 2 ミクログロブリン)を選択的に吸着します。また炎症性サイトカインの吸着や酸化ストレスの改善も期待されます。
当クリニックにおいても透析アミロイド症の透析者を対象に治療しています。
ダイアライザーの何万本もの膜をすべて広げると風呂敷1枚くらいの大きさになります(約0.8~2.5㎡)。
血液が通るところのピンクの部分(人工の膜)は図では1本ですが、実際には約8000から2万本あり、その外側に透析液が流れることで、血液を浄化しています。
BUN(尿素窒素)・Cr(クレアチニン)・UA(尿酸)などの尿毒素やK(カリウム)・P(リン)などの電解質はダイアライザーの穴を通って透析液中に拡散されます。
当クリニックはリクセルを使用しております。
この方法は透析アミロイド症のリスクを低減する治療法として普及しています。
・潰瘍性大腸炎( UC)
・クローン病( CD)
・膿疱性乾癬
に対して顆粒球吸着療法(GCAP)を施行しています。
●顆粒球吸着療法(GCAP)とは
この治療は、血液の一部を連続的に取り出し、白血球の中の顆粒球・単球を選択的に除去する特殊なビーズが詰まった吸着器(アダカラム ®)に通し、その後血液を体内に戻します。
血液を出すルートと血液を返すルートを確保する為に両腕に針を挿入する必要があります。
循環時間は60分ですが、開始操作や血液回路内に残った血液を体内に戻す時間を含めますと約90分程度です。
●治療回数
・ 潰瘍性大腸炎の治療としては1クールにつき10回または11回
・ クローン病の治療では1クールにつき週1回、最大5回 2クールまで計10回
・ 膿疱性乾癬の治療では1クールにつき週1回、最大5回
●費用
保険治療のため、特定疾患医療受給を受けている方は本療法に対する特別な負担はありません。
非受給者の方の詳しい費用についてはお問い合わせください。